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文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻2号

2005年02月発行

文献概要

日米で異なる外科レジデント教育・医療事情・8

外傷外科および集中治療外科(サージカルクリティカルケア)の実際

著者: 十川博1

所属機関: 1ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校一般外科

ページ範囲:P.220 - P.221

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はじめに

 日本の外科が米国に比べて明らかに遅れている分野として,外傷外科およびサージカルクリティカルケアがある.癌外科一辺倒の日本の一般外科では外傷外科は重視されない.日本において整形外科医によって,あるいは脳神経外科医あるいはバイトの内科医によって重症外傷が治療されているというのは米国では考えられない.米国では軽症の患者はERの医師に治療され,重症であると外科医を中心とする外傷チームが呼ばれる.その際はcode Tやtrauma alertと呼ばれ,麻酔科医,外傷外科医(一般外科のレジデントチーム),放射線科医,レスピラトリーテクニシャン,オペ室のナースが一斉にERに駆けつける.外傷センターはレベル1~3に区別され,レベル1外傷センターと呼ぶには外科の指導医あるいはチーフレジデントが病院内に24時間常駐しなければならない.また,各科の専門医が24時間コンサルトできる体制を整えていなければならない.ストーニーブルック校ではチーフレジデントは病院内に泊まっていなければならないが,逆にイェール大学では指導医が病院内に泊まっているので,チーフレジデントは自宅でのポケベルコールとなっているという.通常,外科の当直チームはチーフレジデント(卒後4年目あるいは5年目)およびシニアレジデント(卒後2年目あるいは3年目)そして2人のインターンの構成になり,チーフレジデントがcode Tの指揮をする.もちろん手術になったり,患者が非常に重症でレジデントで手に負えない場合は指導医が病院に来なければならない.しかしながら,基本的にはチーフレジデントの一人舞台である.ERのレジデントたちはcode Tの際は外科レジデントの助けに回るだけであるが,もっとも重要なことは医師から看護婦まで,外傷に関わる人たちはATLSという実技コースを受けていて,皆がそのプロトコールを理解していることである.これは非常に重要なことだと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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