文献詳細
手術手技
シアノアクリレートを用いた痔瘻に対する一次口閉鎖法
著者: 星加奈子1 大見良裕1 稲葉宏1 大見琢磨1 城俊明2 深野雅彦3
所属機関: 1大見クリニック 2城クリニック 3稲田登戸病院外科
ページ範囲:P.404 - P.407
文献概要
痔瘻の発生機序は,肛門小窩からの細菌感染によって肛門腺に生じたprimary anal gland abscessが抵抗の少ないスペースへ波及した,いわゆるcrypt-glandular infection theoryで説明されている1~3).この理論をもとに,全瘻管を開放するlaying open methodや,肛門機能の温存を重視し,一次口を含めた内外括約筋間の瘻管部分の切除または開放にとどめたconservative operationなど種々の手術法が現在まで考案され行われている3).しかし,従来の痔瘻に対する根治手術は内・外肛門括約筋が程度の差はあるが損傷され,術後ガスが漏れやすくなったり,下痢便のとき少し便が漏れやすくなるなど肛門機能障害が生じる可能性があった.
われわれは一次口の存在そのものが痔瘻の発生や再燃の主な原因であり,この一次口を切除・閉鎖することができれば肛門機能をまったく損なうことなく痔瘻は治り得ると考え,一次口閉鎖法・一次口切除法を施行してきた.その結果,再燃は痔瘻の一次口閉鎖法で39例中3例(7.7%),一次口切除法で28例中1例(3.6%)と良好な結果を得ている4).
今回,さらにシアノアクリレート(医療用アロンルファ:以下,アロンアルファ®)を用いた一次口閉鎖法を考案し施行したので,その方法および効果について報告する(図1).
参考文献
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