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文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻5号

2005年05月発行

臨床外科交見室

現在行われている外科的消毒

著者: 岡崎誠1

所属機関: 1市立伊丹病院外科

ページ範囲:P.634 - P.635

文献概要

創傷治療に熱心な一部の病院を除く日本の大部分の病院や診療所では,毎日,熱心に創の消毒が行われている.また,もし消毒を行わなければ,患者サイドからも「なぜ,創を消毒しないの?」とクレームさえ寄せられることがある.わが病院では最近は少しずつ変わってきているが,2004年12月に行われたある外科研究会では,市民病院クラス以上の数施設のなかで外傷治療で消毒を施行していない施設は1施設もなかった.

 外科分野では「消毒」と称して実に多くの行為が行われている.なお,今回のテーマの対象はあくまで人体に対する消毒であり,医療器具や手術覆布などの話ではない.術後創部の毎日の消毒に始まり,外傷の処置前後の消毒,あるいは皮膚膿瘍の切開前の消毒,また手術前の術野の消毒,あるいは術中の消化管切除端の消毒,尿路バルーンの挿入前の局部の消毒やIVHカテーテル挿入のための皮膚消毒など,思いつくままでもこれだけ挙げられる.しかし,現時点でこれらのうち本当に必要であるのは手術前の術野の消毒とIVHカテーテル挿入前の皮膚消毒ぐらいであろう.

参考文献

1)Balin AK, Pratt L:Dilute povidone-iodine solution inhibit human skin fibroblast growth. Dermatol Surg:210-214, 2002
2)Rodeheaver G, Bellamy W, Kody M, et al:Bactericidal activity and toxicity of iodine-containing solutions in wounds. Arch Surg 117:181-186, 1982
3)市岡 滋:創傷治療における感染管理.治療85:2729-2733,2003
4)小山明彦,杉原平樹:傷口の処置―清浄化と消毒.治療85:2772-2776,2003
5)今沢 隆,小室祐造,井上雅博,他:グルクロン酸クロルヘキシジン使用後にアナフィラキシーショックを起こした1症例.日形会誌23:582-588,2003
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7)松股 孝:胃腸切離断端の消毒は必要か.臨外60:94-95,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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