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文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻6号

2005年06月発行

文献概要

外科の常識・非常識 人に聞けない素朴な疑問 17

消化管手術後の予防的ドレーン挿入は必要か

著者: 朔元則1

所属機関: 1国立病院機構九州医療センター

ページ範囲:P.778 - P.779

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【To err is human】

 消化管手術後に腹腔内にドレーンを挿入する目的は,大きく2つに分けられる.第一は術後出血などの合併症を早期に発見するためであり,第二は縫合不全発生時に漏出物を体外に排除し,汎発性腹腔炎の発症を防止するという目的である.前者を“information drain”,後者を“therapeutic drain”と表現するが,1本のドレーンがその両方の役割を担うことが圧倒的に多い.しかし,手術終了時の状況によっては,目的別に数個のドレーンを挿入する場合も決して少なくない.

 「通常の胃切除術や結腸切除術では,術後のドレーン挿入は不要である.欧米では予防的ドレーンは挿入しない」と公言する外科医がいるのはよく承知しているが,筆者はこの意見には反対である.結果論的に考えれば,通常の胃切除術や大腸切除術などで後出血を経験することはきわめて稀であるし,術後縫合不全発生率も確かに低率である.しかし,たとえ大多数の症例において手術時のドレーン挿入が無駄な操作であったという統計的事実があったとしても,その結果をエビデンスとしてドレーン不要論を唱えるのはいかがなものであろうか.これは外科医の傲慢であると筆者は考えている.極端に在院日数を短縮せざるを得ないアメリカの医療事情は日本とは別に考えるべきであって,外国でもドイツの外科医1,207名の調査報告では,86.2%が結腸切除術後にドレーンを挿入していると回答しているのが現実である1)

参考文献

1)Schwenk W, Gunther N, Haase O, et al:Changes in perioperative treatment for elective colorectal resections in Germany 1991 and 2001/2002. Zentralblatt fur Chirurgie 128:1086-92, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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