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文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻9号

2005年09月発行

特集 癌告知とインフォームド・コンセント

法的重要性からみた癌告知とインフォームド・コンセント

著者: 桑原博道1 加藤済仁1

所属機関: 1仁邦法律事務所

ページ範囲:P.1093 - P.1097

文献概要

要旨:インフォームド・コンセントや医師の説明義務は万能ではない.特に癌の告知については,患者に対する精神的打撃というデメリットがあるため,医師には合理的な裁量がある.もっとも告知には,患者が残された時間を有意義に過ごすことと,患者が診療に積極的に協力するようになるというメリットもある.そのため,告知をしない場合には,それらのメリットを告知以外の方法で確保すべきであるというのが裁判所の判断である.しかし,その方法はあまりに高度であり,実施が難しい.したがって,裁判所の判断を前提にすると,告知をしないという選択は取りづらくなる.これでは,告知に対する医師の裁量は否定されるに等しくなり,患者のための医療という点からして,かえって疑問が残る.

参考文献

1)平成6年3月30日東京地方裁判所判決〔平成4年(ワ)第3517号〕:判例時報1522号104-111頁
2)平成14年9月24日最高裁判所判決〔平成10年(オ)第1046号〕:判例時報1803号28-33頁,判例タイムズ1106号87-92頁
3)平成7年4月25日最高裁判所判決〔平成3年(オ)第168号〕:判例時報1530号53-58頁,判例タイムズ877号171-176頁
4)昭和58年5月27日名古屋地方裁判所判決〔昭和49年(ワ)第793号〕:判例時報1082号91-109頁,判例タイムズ507号282-295頁
5)平成8年4月22日大阪地方裁判所判決〔平成6年(ワ)第7602号〕:判例時報1585号66-68頁
6)厚生省・日本医師会(編):がん末期医療に関するケアのマニュアル.1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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