icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻9号

2005年09月発行

特集 癌告知とインフォームド・コンセント

終末期癌患者に対する告知とインフォームド・コンセント―癌縮小治療から緩和医療への移行を伝えるには

著者: 藤本肇1 望月英隆1

所属機関: 1防衛医科大学校第1外科

ページ範囲:P.1119 - P.1125

文献概要

要旨:治癒不能や転移再発を伝え,インフォームド・コンセントを得るためには,癌の初回診断から病名と病状に関する告知が十分になされていることが前提となる.事実,過去の癌死患者の遺族を対象とした調査から,告知がなされている患者のほうが終末期の病状の変化に対する受容が有意に良好であったことが示されている.今後は,バッドニュースを伝えた後の医療者のかかわり方について,(1)癌縮小治療が選択肢に残されている場合には,治療効果を含めた予後に関する説明を行うこと,(2)緩和医療を治療の選択肢に含めて,具体的な説明を行うこと,の2点に留意し,いずれの方法でも医療者が積極的に癌患者を支援する態度を明確に示すことが望まれる.そのためには,癌診療に携わる医師が癌縮小治療の正確な評価方法と緩和医療の導入方法について広い知識を持つように努めなければならない.

参考文献

1)田原克志:わが国の終末期医療の現状と今後の対応―「終末期医療に関する調査等検討会」報告書について.ホスピス緩和ケア白書2005.(財)日本ホスピス・緩和ケア振興財団,2005,pp18-30
2)藤本 肇,橋口陽二郎,上野秀樹,他:癌告知と終末期診療における患者対応のあり方に関する検討―癌死患者の遺族調査から.日消外会誌37:1610-1615,2004
3)岡 義雄,西蔦準一,伊豆蔵正明:情報開示としての余命告知―患者へのアンケート調査より.緩和医療学5:175-181,2003
4)Okamura H, Uchitomi Y, Sasako M, et al:Guidelines for telling the truth to cancer patients. Japanese National Cancer Center. Jpn J Clin Oncol 28:1-4, 1998
5)角田明良,渋沢三喜,草野満夫:消化器癌患者に対する計画的なinformed consentと緩和ケア―癌患者は終の住みかを選べるか.日消外会誌35:1457-1460,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら