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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻1号

2006年01月発行

臨床報告・1

大腿ヘルニア根治術後のメッシュ感染の1例

著者: 松田俊太郎1 峯一彦1 河野文彰1 小谷幸生1 市成秀樹1 柴田紘一郎1

所属機関: 1宮崎県立日南病院外科

ページ範囲:P.105 - P.107

文献概要

はじめに

 以前に一般的に行われてきた鼠径ヘルニアおよび大腿ヘルニアの手術方法にはMcVay法やIliopubic tract repair法など多数が存在するが,これらの手術では周囲組織を利用して後壁を補強するため緊張が強く,再発の一因となっていた.最近では各種メッシュを使用して緊張を軽減したヘルニア根治術が施行されるようになり,現在の標準術式となっている1).しかし,合併症の中で術後のメッシュ感染は治療に難渋することが報告されている2~5)

 今回,術後3か月目に創部感染を発症し,保存的治療を行っても寛解しない症例に,最終的には初回手術の1年4か月後にメッシュ除去術を施行して軽快した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

参考文献

1)Lichtenstein IL, Shulmann AG, Amid K, et al:The tension-free hernioplasty. Am J Surg 157:188-193, 1989
2)藤井正宏,小林陽一郎,宮田完志,他:鼠径ヘルニア根治術後のメッシュ感染の1例.手術58:1933-1936,2004
3)山本雅由,高橋真治,木内幸之助,他:保存的に治癒できた,メッシュ・プラグ法による鼠径ヘルニア根治術後のMRSA感染の1例.外科61:221-224,1999
4)田村明彦,半田 寛,伊澤祥光,他:プロリンヘルニアシステムMRSA感染が保存的に軽快した1例.日臨外会誌64:1251-1254,2003
5)岡崎 誠,篠崎幸司:術後メッシュ摘出を余儀なくされた成人ヘルニアの2手術例.手術57:1045-1047,2003
6)Gilbert AI, Felton LL:Infection in inguinal hernia repair considering biomaterials and antibiotics. Surg Gynec Obstet 177:126-130, 1993
7)Thill RH, Hopkins WM:The use of mersilene mesh in adult inguinal and femoral hernia repairs;a comparison with classic techniques. Am Surg 60:553-557, 1994
8)Amid PK:Classification of biomaterials and their related complications in abdominal wall hernia surgery. Hernia 1:15-21, 1997
9)Scotto NW:Open mesh versus non-mesh repair of inguinal hernia. The Cochran Database of Systematic Reviews. The Cochrane Library, Copyright 2001, The Cochrane Collaboration Issue 4, 2001
10)柵瀨信太郎:メッシュを用いる鼠径ヘルニア手術.消外25:397-411,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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