臨床外科61巻1号

2006年01月発行

臨床報告・1

腹部CT検査で偶発的に発見された腸間膜原発悪性リンパ腫の1例

著者： 茶谷成¹ 竹末芳生¹ 大毛宏喜¹ 香山茂平¹ 坂下充¹ 末田泰二郎¹

所属機関： ¹広島大学大学院病態制御医科学講座外科学

ページ範囲：P.113 - P.116

はじめに

　腸間膜原発の悪性リンパ腫は全悪性リンパ腫の0.12％と比較的稀な病態である^1）．また，その多くは腹部腫瘤の自覚で発見される．

　今回，われわれは他疾患に対する検査中に腹部CT検査で発見し得た，比較的早期の腸間膜悪性リンパ腫を経験した．組織型診断のための生検を行う過程で興味深い知見が得られたので，文献的考察を加えて報告する．

参考文献

1）村山直弘，荒木保明，青木　誠，他：腸間膜原発と思われる悪性リンパ腫の2例．医療36：41-47，1982

2）藤田晃司，村井信二，中村明彦，他：腸重積を伴い腸間膜原発と考えられた悪性リンパ腫の1例．日消外会誌36：40-45，2003

3）森田宗孝，谷　聡，萩原良輔，他：腸間膜原発のホジキン病の1例．日消誌99：391-396，2002

4）原田洋明，杉原重哲，小林広典，他：急速な増大傾向を示した腸間膜原発悪性リンパ腫の1切除例．消化器外科23：1337-1341，2000

5）Mueller PR, Ferrucci JT Jr, Harbin WP, et al：Appearance of lymphomatous involvement of the mesentery by ultrasonography and body computed tomography：the“sandwich sign”. Radiology 134：467-73, 1980

6）馬場康貴，大久保幸一，清野哲孝，他：水疱性類天疱瘡を伴った腸間膜悪性リンパ腫の1例．臨床放射線42：945-948，1997

7）坂本　渉，石井芳正，伊藤泰輔，他：腸間膜悪性リンパ腫の1例．日臨外会誌65：532-535，2004

8）福島伯泰，船井典子，末岡榮三郎，他：濾胞型リンパ腫の病態と治療．治療学38：33-35，2004

9）吉田秀明，枝澤　寛，野納邦昭，他：CHOP療法で2年以上CRを得ている巨大腸間膜原発悪性リンパ腫の1例．日消外会誌33：1925-1929，2000