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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻11号

2006年10月発行

文献概要

特集 イラストレイテッド外科標準術式 Ⅱ.胃の手術

腹腔枝温存胃切除術

著者: 三輪晃一1

所属機関: 1富山労災病院

ページ範囲:P.71 - P.77

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はじめに

 胃癌手術後の困難症には,胃切除によるもののほかにリンパ節郭清に伴う自律神経系,特に迷走神経の損傷によって生じるものがある.迷走神経切離による障害は消化性潰瘍の迷切術の経験で明らかにされており1,2),胃癌手術でも根治性が満たされる場合は自律神経系が温存されるべきである.

 迷走神経の肝枝,腹腔枝温存の利点は胃切除後胆石の予防,下痢の予防,術後の順調な体重回復,インスリン分泌障害の予防である.そのほか血糖などのcircadian rhythm,胃,十二指腸,胆道,膵臓などの臓器相関にも関与すると考えられる3)

 本稿では胃周囲の自律神経の解剖と機能,腹腔枝温存のポイントを記載する.

参考文献

1)Goligher JC, Pulvertaft CN, Irvin TT, et al:Five-to eight-year results of truncal vagotomy and pyloroplasty for duodenal ulcer. Br Med J 1:7-13, 1972
2)Ihasz M, Griffith CA:Gallstones after vagotomy. Am J Surg 141:48-50, 1981
3)三輪晃一,木南伸一,佐藤貴弘,他:早期胃癌手術における神経温存の意義.日外会誌97:286-290, 1996
4)Jackson RG:Anatomic study of the vagus nerves with a technique of transabdominal selective gastric vagus resection. Arch Surg 57:333-352, 1948
5)三輪晃一:胃癌手術での神経温存―肝神経叢温存の重要性を中心に.消外22:1237-1244,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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