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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻11号

2006年10月発行

文献概要

特集 イラストレイテッド外科標準術式 Ⅳ.肝・胆・膵の手術

全胃温存,腹腔動脈合併切除を伴う膵体尾部切除術

著者: 富川盛啓1 菱沼正一1 尾澤巖1 尾形佳郎1

所属機関: 1栃木県立がんセンター外科

ページ範囲:P.295 - P.302

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手術適応

 周囲血管に浸潤する膵癌に対する動脈合併切除例の予後は不良であるため,その適応は厳格に検討する必要がある.筆者らは腹腔動脈周囲への浸潤を認める膵癌症例のうち後腹膜浸潤が軽度で,第1群リンパ節以遠に転移を認めず,膵頭部を温存できるものをこの術式の適応としている.この術式では術後の肝および胃への血行動態の問題から上腸間膜動脈から膵頭部アーケード,胃十二指腸動脈が浸潤を受けずに温存できることが必須条件である1)(図1).

手技

 1.開腹,腹腔内の検索

 正中切開にて開腹する.吊り上げ鉤,開創器を用いて術野を展開し,さらにオクトパス鉤を右頭側からかけて,良好な視野を確保する(図2).腹腔内を観察し,肝転移や腹膜播種の有無を検索する.

参考文献

1)尾形佳郎,菱沼正一,松井淳一,他:膵体尾部癌における腹腔動脈合併切除とリンパ節郭清.手術54:1485-1490,2000
2)飯塚一郎:総肝動脈切離後の側副血行による血流について―Appleby手術症例に関する臨床的検討.日外会誌91:631-638,1990
3)菱沼正一,尾形佳郎,松井淳一,他:全胃を温存し腹腔動脈合併膵体尾部切除術を施行した膵体部癌の2例.日消外会誌24:2782-2786,1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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