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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻12号

2006年11月発行

文献概要

特集 生活習慣病および代謝性疾患と外科

肥満患者に対する腹腔鏡下手術

著者: 遠山信幸1 河村裕1 清崎浩一1 小西文雄1

所属機関: 1自治医科大学附属大宮医療センター外科

ページ範囲:P.1473 - P.1478

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 要旨:腹腔鏡下手術から発展した内視鏡下手術の普及はめざましく,現在ではあらゆる疾患・領域へ適応が拡大されている.しかしながら,未熟な内視鏡下手術による医療事故も後を絶たず,「内視鏡下手術は簡単・安全」という認識は誤りである.特に肥満患者に対しては,腹腔鏡下手術手技そのものに対する習熟とともに,腹腔鏡下手術に伴う一般的合併症のほか,メタボリックシンドロームとしての周術期全身合併症対策が必要となる.内視鏡下手術のトレーニングは重要であり,日本内視鏡外科学会による内視鏡外科専門医の技術認定制度も発足している.肥満患者に対する腹腔鏡下手術に対しては十分なインフォームド・コンセントとともに,ときには開腹手術への移行を躊躇しない決断も必要である.

参考文献

1)遠山信幸:内視鏡下手術の基本.小西文雄(監修);消化器外科レジデントマニュアル.医学書院,2005,pp99-112
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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