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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻12号

2006年11月発行

文献概要

外科の常識・非常識―人に聞けない素朴な疑問・35

成人鼠径ヘルニア手術でヘルニア囊の切除は必要か

著者: 岡崎誠1

所属機関: 1市立伊丹病院外科

ページ範囲:P.1514 - P.1515

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 【素朴な疑問】

 最近,成人の鼠径ヘルニアの手術は,人工物であるメッシュを用いた手術が標準的になっているのは周知のとおりである.メッシュにも種々のものが出現し,術式も多様になっている.学会や研究会でも,メッシュを使用するときはヘルニアのタイプにかかわらずヘルニア囊の切除は必要ないという発表もみられ,やや混乱がみられる.このへんのところを少し詳しく検証してみる.

 【メッシュを使用しなかった時代での検証】

 20年以上前にヘルニアの手術を習ったとき,ヘルニアの手術はヘルニア囊,いわゆるヘルニアサックを見つけ,それをできるだけヘルニア門の根部あるいは腹膜前脂肪組織近くまで剝離し(ヘルニア囊の高位剝離),根部で切除するのがヘルニア手術の一番大事なポイントであると教わった.だから,まだヘルニア手術に自信がないときは,ヘルニア囊あるいはそれらしきものを見出すとほっとしたものである.外鼠径ヘルニア(あるいは間接ヘルニア)のときはこれでいいのであるが,内鼠径ヘルニア(直接ヘルニア)のときはさまざまな意見があり,この場合もヘルニア囊を見出し切除すべきという意見と,ヘルニア囊が不明なときは補強のみでいいという意見に分かれていた.

参考文献

1)井上 雄,柳 壮一,都築正男,他(編):第2章各論.鼠径ヘルニア.日本外科全書.金原出版・南江堂,1955,pp32-111
2)石川浩一,三島好雄(監訳):腹壁ヘルニア.Principle of Surgery(シュワルツ外科学).廣川書店,1977,pp1687-1706

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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