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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻13号

2006年12月発行

特集 消化器外科術後合併症の治療戦略―私たちはこのように治療している

頸部食道癌術後縫合不全

著者: 諌山冬実1 梶山美明1 岩沼佳見1 富田夏実1 天野高行1 小室裕造2 梁井皎2 鶴丸昌彦1

所属機関: 1順天堂大学消化器外科学講座上部消化管外科学 2順天堂大学形成外科学講座

ページ範囲:P.1579 - P.1582

文献概要

 要旨:頸部食道癌術後縫合不全の臨床的特徴,診断,治療などについて胸部食道癌術後と対比し述べた.縫合不全の要因は低酸素血症,低栄養,基礎疾患,放射線治療の既往などである.吻合に際しての注意点は,(1)膿瘍形成が起こった場合は大血管の破綻により大出血することがある,(2)遊離空腸移植は血管吻合の成否が重要である,(3)全胃挙上では先端部の虚血に注意する,(4)喉頭温存例では高位吻合となり,縫合には細心の注意が必要となる,の4点である.診断の要点は,(1)咽頭吻合の左右縫縮部にも注意する,(2)頸部皮膚の発赤があれば頸部創を1~2針抜糸して臓器壊死の可能性も疑う,の2点である.縫合不全となっても多くの場合は再手術せず経過観察とドレナージで治癒するが,再手術の適応は(1)急性血行障害からの挙上臓器壊死が疑われたとき,(2)慢性血行障害のため再建臓器が瘢痕化し高度の狭窄を起こしたとき,である.

参考文献

1)鶴丸昌彦:消化器外科領域の術後合併症とその対策―胸部食道切除術.日消外会誌29:109-113,1996
2)広安俊吾,島 伸吾,森崎善久,他:肝硬変合併食道癌患者の手術.日臨外会誌55:1088-1093,1994
3)梶山美明,鶴丸昌彦:下咽頭,頸部食道癌手術.消外25:794-800,2002
4)梶山美明,鶴丸昌彦:食道切除後挙上胃腸管壊死.手術59:1419-1423,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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