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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻13号

2006年12月発行

特集 消化器外科術後合併症の治療戦略―私たちはこのように治療している

胃切除BillrothⅠ法再建後の吻合部狭窄

著者: 小野木仁1 鈴木聡1 遠藤良幸1 大木進司1 竹之下誠一1

所属機関: 1福島県立医科大学外科学第二講座

ページ範囲:P.1589 - P.1593

文献概要

 要旨:幽門側胃切除術後再建における吻合部狭窄はBillrothⅡ法よりⅠ法における発生頻度が高い.以前は手縫い吻合より器械吻合のほうが発生頻度が高いと言われていたが,最近は器械吻合のほうが低いという報告が増えている.消化管吻合部狭窄は吻合部の浮腫や血腫によるもので一過性であることが多いが,縫合不全に起因する瘢痕性狭窄は何らかの処置を必要とすることが多い.吻合部狭窄の診断と治療は,内視鏡検査が最も有用性が高い.観察後ただちに内視鏡的拡張治療を行うことができ,なかでも内視鏡下のバルーン拡張術が有効である.加えて内視鏡下切開拡張術などの進歩により吻合部狭窄に対する再手術を要する症例は減少している.

参考文献

1)相馬哲夫,松本文和:吻合部狭窄.腹部・消化器外科治療マニュアル―術後合併症の治療.外科治療68:1014-1019,1993
2)戸塚哲男:BillrothⅠ法胃切除後の吻合部の形態と通過障害に関するレ線学的研究.日臨外会誌30:15-21,1969
3)島津久明:胃手術の合併症と後遺症.出月康夫,木本誠二(編);新外科学大系―胃・十二指腸の外科2.中山書店,1988,pp117-161
4)旭 博史,大森浩明:胃手術後の縫合不全・吻合部狭窄の治療.手術53:979-986,1999
5)池永直樹,西原一善:腹腔鏡補助下幽門側胃切除術における小開腹創からの器械吻合―手縫い吻合との比較・検討.外科68:559-563,2006
6)服部和伸,神林清作,佐藤博文,他:胃切除術後早期吻合部狭窄に対する茯苓飲の効果.日消外会誌28:966-970,1995
7)嶋尾 仁:上部消化管狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術の基本とコツ.消内視鏡17:1645-1647,2005
8)高橋寿久:上部消化管器械吻合術術後吻合部狭窄に対する内視鏡的切開.Gastroenterol Endosc 34:2003-2009,1992
9)篠塚 望,安西春幸,松本 隆,他:吻合部狭窄治療における内視鏡専用自動出力モード(エンドカット)の応用.外科63:1103-1105,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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