文献詳細
特集 手術のための臨床局所解剖
文献概要
要旨:鼠径部のヘルニア手術にあたっては,鼠径管と大腿管の3次元的な理解が不可欠である.鼠径管を構成するのは体表側から順に外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋,横筋筋膜の4層であり,それぞれ外腹斜筋腱膜(脚間線維)は前壁を,同腱膜から移行する鼠径靭帯は下壁を,内腹斜筋と腹横筋腱膜弓は上壁を,さらに横筋筋膜(と腹横筋腱膜線維の一部)は後壁を担っている.また,大腿管は横筋筋膜から続く大腿血管鞘の大腿静脈と裂孔靱帯との間隙である.病的な状態であるヘルニアは,腹膜が腹膜下筋膜を伴った構造のまま袋状に伸展し,横筋筋膜を被った状態で脱出したものである.
参考文献
1)柵瀨信太郎:鼠径部の局所解剖.吉野肇一,武藤徹一郎,二川俊二(編);最新アッペ・ヘモ・ヘルニア・下肢バリックスの手術.金原出版,2000,pp209-219
2)金谷誠一郎:膜の解剖からみた消化器一般外科手術―鼠径ヘルニア根治術・内鼠径輪の処理.臨外51:903-911,1996
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