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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻6号

2006年06月発行

文献概要

外科学温故知新・11

癌化学療法

著者: 今野弘之1

所属機関: 1浜松医科大学外科学第2講座

ページ範囲:P.799 - P.806

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1 はじめに

 Nitrogen mustardが悪性リンパ腫の治療に用いられてから約60年が経過したが,多くの研究者の努力によってアルキル化薬,代謝拮抗薬,抗癌抗生剤,植物アルカロイド,タキサン,白金製剤,カンプトテシン,ホルモン剤,biological response modifier(BRM),分子標的治療薬,酵素製剤など,化学療法剤を主体として多くの癌治療薬剤が開発された.わが国においても優れた化学療法剤の合成・開発がなされ,各種の癌に対するレジメンの臨床研究も行われてきた.しかし,その後のわが国における癌化学療法の展開は満足すべきものではなく,EBM,ICH-GCPなどの理解・認識や標準療法の提示は比較的最近のことであり,欧米のレベルに必死にキャッチアップしようとしているのが現状である.

 その一方で有力な新規化学療法剤が開発され,標準治療剤として次々と組み入れられており,一般臨床家が種々の癌に対する最新の標準化学療法をすべて理解するのは容易ではない.われわれ外科医も,固形癌に対する癌化学療法の急速な変化にどのように対応すればよいのか,多少困惑しているというのが実情であろう.このような現状を踏まえ,癌化学療法の歴史を振り返り,成果と問題点を今一度見直すことは意義深い試みと思われる.

参考文献

1)Farber S, Diamond L, Merecer RD, et al:Temporary remission in acute leukemia in children produced by folic acid antagonist, 4-aminopteryoglutamic acid(aminopterin). New Engl J Med 238:787-93, 1948
2)後藤 歩,白尾国昭:UFT―わが国で開発された経口抗癌剤の光と影.Mebio Oncology 1:28-34,2004
3)Douillard J, Hoff OM, Skillings JR, et al:Multicenter phase Ⅲ study of uracil/tegafur and oral leucovorin versus fluorouracil and leucovorin in patients with previously untreated metastatic colorectal carcinoma. J Clin Oncol 20:3606-3616, 2002
4)Gilman A, Philips FS:The biological actions and therapeutic application of β-chloroethyl amines and sulfides. Science 103:409-415, 1946
5)Rosenberg B, VanCamp L, Trosko JE, et al:Platinum compounds:a new class of potent antitumor agents. Nature 222:385-386, 1969
6)Gelmon K:The taxoids:paclitaxel and docetaxel. Lancet 344:1267-1272, 1994
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8)大腸癌研究会(編):大腸癌治療ガイドライン 医師用 2005年版.金原出版,2005
9)日本胃癌学会(編):胃癌治療ガイライン 医師用.第2版.金原出版,2004
10)菅野晴夫:癌 化学療法の50年.癌の臨床50:607-616,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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