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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻7号

2006年07月発行

文献概要

特集 消化器外科における非観血的ドレナージ

胃・十二指腸―穿孔(消化性潰瘍・胃癌),縫合不全に対する非観血的ドレナージの可能性

著者: 今村博司1 古河洋1 岸本朋乃1 山本和義1 大城良太1 龍田眞行1

所属機関: 1市立堺病院外科

ページ範囲:P.907 - P.912

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 要旨:胃・十二指腸潰瘍や胃癌による穿孔症例は,腹腔内への消化管内容の漏出が認められた場合,腹膜炎の併発を危惧して大網充塡術や広範囲胃切除術などの緊急開腹手術が施行されることが一般的である.一方,抗潰瘍薬の発達や画像診断能の向上によって,腹腔内への消化管内容の漏出がない,または軽度な症例では保存的治療で対応できるという報告が散見されるようになってきた.さらに最近では,明らかな腹腔内への消化管内容の漏出があっても,限局性であれば積極的にUSまたはCTガイド下での非観血的ドレナージ術を併用することで,侵襲の大きい全身麻酔下での緊急開腹手術を回避できる可能性が出てきた.本稿では,このような症例に対する保存的治療,特に非観血的ドレナージ術について概説した.

参考文献

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12)炭山嘉伸,草地信也:腹腔内膿瘍の治療.外科57:155-162,1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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