文献詳細
連載企画「外科学温故知新」によせて・3
Antisepsis(防腐法)からAsepsis(滅菌,無菌)へ
著者: 佐藤裕12
所属機関: 1北九州市立若松病院外科 2日本医史学会
ページ範囲:P.955 - P.958
文献概要
一方,西洋に「War is the chief training school for surgeons」という言葉があるように,良きにつけ悪しきにつけ外科学が戦争とともに発展する,言い換えれば,戦争が外科学の発展を後押しするという一面があるのも否めない事実である.たとえば,近代外科学の父とも称されるParéは戦傷治療に際して,新機軸の冷膏治療や四肢切断時の血管結紮などを,創管理法や止血法として導入したわけであるが,Paréが戦傷治療を刷新しようと努力していた16世紀頃は,多くの軍陣外科医たちはワインやヴィネガー,バラ油やテルピン油などを受傷に引き続いて起こる致死的な敗血症を阻止すべく,消毒・防腐を兼ねた創の保護・被覆材(wound dressing)として使用していた.
参考文献
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