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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻8号

2006年08月発行

文献概要

元外科医,スーダン奮闘記・4

一時帰国

著者: 川原尚行1

所属機関: 1NGOロシナンテス

ページ範囲:P.1097 - P.1099

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一時帰国まで

 ガダーレフ州ガランナハル村を中心とした巡回診療が,なんとか形になってきたかなという頃,日本に一時帰国しなければならなくなった.私の団体であるロシナンテスが内閣府にNPO法人として認可される時期がきたのである.NPO,NGOと理解できない点があると思うので,説明したい.わが国にはNGO(非政府組織)を認定するものは存在しない.よく考えれば,非政府組織を国が認定するのもおかしなものである.日本ではNPO(非営利組織)を認定している.事務所が1か所であれば,その事務所がある都道府県から,2か所以上であれば内閣府から認定を受ける.ロシナンテスは北九州に本部を,東京に支部を置いているため,内閣府に必要書類を提出していた.それが認可される見込みというのである.

 さらに,日本寄生虫学会から招待講演を依頼されたのである.外科医が寄生虫学会というのもおかしいと思われるであろうが,私は寄生虫学会に所属している.外務省に入省してまもなく,マラリアに関しての研修を群馬大学の寄生虫学教室の鈴木守教授にしていただいた.鈴木先生とは,その縁で帰国のたびにご挨拶に伺っていた.鈴木先生は1980年から10年間,私が現在いるスーダンでマラリア・コントロール・プロジェクトのチームリーダーだった先生である.スーダンでも鈴木先生の名はいまだに轟いている.その鈴木先生から,ぜひとも寄生虫学会マラリア・サテライト部会で講演をしてくれという依頼がきた.弘前大学寄生虫学教室の神谷教授の主宰で開かれる学会であったのが,昨年に神谷教授が突然お亡くなりになり,その弔い合戦の意味もあるので,ぜひ私にというのである.そのマラリア・サテライト部会が始まったのは,スーダンでマラリア・コントロール・プロジェクトが開始されたのがきっかけであったというのである.奇遇であり,恩師からの依頼である.これは帰国しなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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