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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻9号

2006年09月発行

文献概要

特集 消化器外科医に必要な低侵襲治療の知識

上部消化管出血に対する低侵襲性治療―内視鏡的止血法の実際

著者: 熊井浩一郎1 相浦浩一1

所属機関: 1慶應義塾大学病院内視鏡センター

ページ範囲:P.1175 - P.1181

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 要旨:消化管出血は臨床医にとって遭遇する機会の多い病態であるが,最近は非手術的な低侵襲治療である内視鏡的止血法が止血治療の第一選択となっている.内視鏡的止血法には止血機序の異なる種々の方法があり,出血源や出血状況に応じて選択する.噴出性出血や露出血管などがよい適応であり,90%前後の良好な止血効果が報告されている.消化管出血患者の診療において最も重要なことは,一連の流れのなかでのdecision makingである.Primary careとして全身状態の把握と管理を行いつつ,緊急内視鏡の適応を判断する.緊急内視鏡の目的は,出血源の探索,出血状況の診断,それに引き続いての内視鏡的止血法の選択と実施である.多数例ではないが存在する止血不能例や再出血例に対しては,施設の体制を踏まえた緊急IVRや緊急外科手術の選択において,消化器外科医によるdecision makingが必要となる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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