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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻9号

2006年09月発行

私の工夫 手術・処置・手順

S状結腸・直腸癌に対する腹腔鏡下切除時の左結腸動脈温存への工夫―腹腔鏡下手術用超音波ドプラプローブの利用

著者: 實操二1 盛真一郎2 中島三郎1 下田仁志2 田辺元2 小代正隆1

所属機関: 1鹿児島県立大島病院外科 2阿久根市民病院消化器病センター

ページ範囲:P.1240 - P.1241

文献概要

はじめに

 腹腔鏡下大腸・直腸癌手術の適応は拡大しつつあるが,同時に個々の症例に応じた過不足ない血管処理を伴う系統的なリンパ節郭清が必要とされる.しかし,腹腔鏡下手術では触診が行えないうえに,二次元モニター下の拡大視・近接視効果のため全体像が捉えにくく,血管の局所解剖を理解するのに難渋することが多い.特に肥満症例では血管の同定が困難であり,不意な出血などの合併症に遭遇することがある.そのため,術前に3D-CT血管画像を用いて血管の局所解剖を把握することにより,過不足のない血管処理を伴うリンパ節郭清が報告されている1)

 われわれはS状結腸癌・直腸癌(Rs・Ra)のD2リンパ節郭清適応症例に対して,術前の3D-CT血管画像診断に加え,術中に腹腔鏡下手術用超音波ドプラを用いることによって,より安全・的確な血管処理が行われるように工夫しているので解説する.

参考文献

1)奥田準二,田中慶太朗,李 相雄,他:進行大腸癌に対する種々の工夫を加えた3D-CT画像に基づく腹腔鏡下ナビゲーション手術.外科治療84:1015-1027,2001
2)千葉井基泰,高橋宣胖,一志公夫,他:腹腔鏡下胆囊摘出術における血管損傷の防止対策―腹腔鏡超音波血流計の有用性.Progress of Digestive Endoscopy 44:160-161,1994
3)大橋正和,中川 健,矢内原仁,他:腹腔鏡下精巣動脈温存精索静脈瘤切除術―腹腔鏡下手術用超音波ドプラプローベの使用経験.西日泌尿58:823-826,1996
4)Fowler DL, White SA:The use of a Doppler probe for identifying the cystic artery during a laparoscopic cholecystectomy:a pilot study. Surg Laparosc Endosc 2:117-119, 1992
5)Loughlin KR, Brooks DC:The use of a Doppler probe in laparoscopic surgery. J Laparoendosc Surg 2:191-194, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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