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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻9号

2006年09月発行

文献概要

胃癌外科におけるリンパ節郭清の始まりとその展開・7

Mikuliczの胃癌外科とその時代(1)―理論の始まり

著者: 高橋孝12

所属機関: 1たむら記念病院外科 2亀有病院

ページ範囲:P.1253 - P.1258

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【Mikuliczのリンパ節を見る「まなざし」とSappeyのリンパ流研究】

 ここで言う「まなざし」とは「癌の根治の意思を念頭において“もの”を見ること」を意味します.Mikuliczは限られた術野内でどのような「まなざし」をもってリンパ節を見ていたのでしょうか.いや術中だけではありません.前回われわれはすでに,Mikuliczが肉眼癌型の重要性を把握し,それを動的に実践していたことをみてきました.術前に患者の訴えの内容を聞き腹部を触診したときから,Mikuliczの「まなざし」は胃周囲のリンパ節に注がれていたものと思います.今日われわれは,本連載第5回目に参照した103例の胃手術報告論文(1896年),本連載第6回目に挙げた1898年の外科学会講演,および1900年の外科全書中の著書によって,Mikuliczのリンパ節を見る「まなざし」を知ることができます.ほぼ2年おきの3論文からMikuliczの「まなざし」とその変化をみていきましょう.

 3つの論文はそれぞれ異なった観点からリンパ節をみています.1896年論文は,胃切除か胃腸吻合かの判断に際してのリンパ節転移の重要性を述べるもので,そこにみられる根治への意思はきわめて薄いと言わざるを得ません.したがって,リンパ節を見る目は,大彎・小彎のリンパ節と胃壁外(ausserhalb der nächsten Umgebung des Magens)のリンパ節群を見分けるだけであり,それらがただそこに存在しているだけで,互いの関連性や周囲とのつながりは考慮の外におかれていました.

参考文献

1)Sappey C:Description et Iconographie, Anatomie, Physiologie, Pathologie des Vaisseux Lymphatiques considérés chez l'homme et vertébrés. Deuxieme Partie. Paris, Adrién Delahaye, 1874
2)Sappey C:Description et Iconographie, Anatomie, Physiologie, Pathologie des Vaisseux Lymphatiques considérés chez l'homme et vertébrés. Premiére Partie. Paris, Adrién Delahaye, 1885
3)Sappey C:Traité D'anatomie Descriptive. Troisiéme edition, Tome Deuxiéme. Paris, Adrién Delahaye, 1876
4)Gerota D:Zur Technik der Lymphgefässinjection-Eine neue Injectionsmasse fur Lymphgefässe. Polychrome Injection. Anat Anz 12:216-223, 1896

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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