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文献詳細

雑誌文献

臨床外科61巻9号

2006年09月発行

文献概要

臨床報告・1

Linear staplerによるfunctional end-to-end anastomosis後に吻合部再発をきたした結腸癌の2例

著者: 盛口佳宏1 上原圭介1 藤田伸1 山本聖一郎1 赤須孝之1 森谷冝皓1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院大腸外科

ページ範囲:P.1283 - P.1286

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はじめに

 結腸癌切除後のlinear staplerを用いた機能的端々吻合(functional end-to-end anastomosis:以下,FEEA)はSteichen1)によって1968年に報告され,1990年代には手術手技の簡便性と手術時間の短縮効果のため欧米を中心に広く普及し,現在では標準的吻合手技として確立されている.一方,わが国では直腸癌手術と異なり,結腸癌手術では吻合器の使用が保険で認められていなかったことから,手縫いによる吻合再建が一般的であった.しかし,2000年4月に結腸癌手術に対しても4個を限度に縫合器の使用が保険で認められてから,FEEAによる吻合再建は急速に普及しつつある2).当院でも1999年から結腸癌手術の吻合にFEEAを部分的に導入し,現在では主にcircular staplerを用いるS状結腸を除き,吻合再建は原則的にFEEAで行っている.

 一方,結腸癌では直腸癌と比較して術後吻合部再発の頻度は低いが,近年,学会や論文でのFEEA後吻合部再発の報告が散見されるようになっている2,3).今回,FEEAで再建を行った結腸癌術後に吻合部再発をきたした2症例を経験したので報告する.

参考文献

1)Steichen FM:The use of staplers in anatomical side-to-side and functional end-to-end enteroanastomoses. Surgery 64:948-953, 1968
2)倉本正文,蓮尾友伸,石原光二郎,他:Functional end-to-end anastomosis術後に吻合部再発をきたしたS状結腸癌の1例.日臨外会誌66:1976-1979,2005
3)椎野 豊,尾碕俊造,小室万里,他:腹腔鏡大腸癌手術における吻合部再発の検討.埼玉医会誌39:461-464,2005
4)角田明良,河村正敏,中尾健太郎,他:結腸癌治癒切除後吻合部再発例の検討.日本大腸肛門病会誌46:215-218,1993
5)松本昌久,丸田守人,前田耕太郎,他:Implantationによる再発と考えられた結腸癌術後吻合部再発の2例.日臨外会誌60:1341-1344,1999
6)森 武生,高橋慶一,安野正道:進行大腸癌に対する治療戦略―直腸癌局所再発に対する治療.Pract Oncol 12:9-10,1999
7)角田明良,渋沢三喜,神山剛一,他:腸管洗浄法による大腸癌切除標本での遊離癌細胞検出頻度とそのviabilityについて.日消外会誌29:1022-1027,1996
8)Meagher AP, Wolf BG:Right hemicolectomy with a linear cutting stapler. Dis Colon Rectum 37:1043-1045, 1994
9)Docherty JG, McGregor JR, Akyol AM, et al:Comparison of manually constructed and stapled anastomoses in colorectal surgery. West of Scotland and Highland Anastomosis Study Group. Ann Surg 221:176-184, 1995
10)Kyzer S, Gordon PH:The stapled functional end-to-end anastomosis following colonic resection. Int J Colorectal Dis 7:125-131, 1992
11)大腸癌研究会(編):大腸癌治療ガイドライン 医師用 2005年版.金原出版,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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