icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻10号

2007年10月発行

文献概要

カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・6

胸腔鏡下食道切除術

著者: 國崎主税1 牧野洋知1 高川亮1 永野靖彦1 藤井正一1 小坂隆司2 小野秀高2 大塚裕一2 秋山浩利2 市川靖史2 嶋田紘2

所属機関: 1公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科 2公立大学法人横浜市立大学医学研究科消化器病態外科学

ページ範囲:P.1307 - P.1312

文献購入ページに移動
はじめに

 食道癌に対する食道切除術では食道切除に加え,縦隔リンパ節郭清が重要である.わが国では1980年代に縦隔リンパ節郭清の重要性が唱えられ,2領域郭清に加え3領域郭清が広く行われるようになった.しかし,徹底した縦隔リンパ節郭清は術後の呼吸器合併症を引き起こし,ときには重篤な状態にまで至る.そこで,手術侵襲軽減のために1992年にはPeracchiaら1)が,1993年にはCuschieri2)やGossotら3)が次々と内視鏡下食道切除術の有用性を報告した.

 わが国では開胸下の食道切除術と縦隔リンパ節郭清の手技が確立され,一般的に行われているが,胸腔鏡下食道切除術はいまだ広く受け入れられているわけではない.しかし,近年になって胸腔鏡下食道切除術は手技の工夫や様々な手術器具の発達によって手技の安定化がはかられつつあり,今後ますます標準化していくものと考える.本稿では,われわれが行っている手技について概説する.

参考文献

1)Peracchia A, Ancona E, Roul A, et al:Use of mini-invasive procedures in esophageal surgery. Chirurgie 118:305-308, 1992
2)Cuschieri A:Endoscopic subtotal oesophagectomy for cancer using the right thoracoscopic approach. Surg Oncol 2:3-11, 1993
3)Gossot D, Fourquier P, Celerier M:Thoracoscopic esophagectomy;technique and initial results. Ann Thorac Surg 56:671-674, 1993
4)大杉治司,高田信康,竹村雅至,他:食道癌の治療―胸腔鏡下手術.日外会誌 103:354-358,2002
5)小澤壯治:胸部食道癌に対する胸腔鏡下手術―積極的な立場.外科 69:621-624,2007
6)梶山美明,鶴丸昌彦:胸部食道癌に対する胸.腔鏡下手術―慎重な立場.外科 69:625-629,2007
7)Akaishi T, Kaneda I, Higuchi N, et al:Thoracoscopic en bloc total esophagectomy with radical mediastinal lymphadenectomy. J Thoaraco Cardiovasc Surg 1112:1533-1540, 1995
8)Osugi H, Takemura M, Higashino M, et al:A comparison of video-assisted thoracoscopic oesophagectomy and radical lymph node dissection for squamous cell cancer of the esophagus with open operation. Br J Surg 90:108-113, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?