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文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻11号

2007年10月発行

文献概要

特集 癌診療に役立つ最新データ2007-2008 Ⅱ.甲状腺癌

甲状腺癌の疫学に関する最新のデータ

著者: 岩崎博幸1

所属機関: 1国際医療福祉大学熱海病院外科

ページ範囲:P.39 - P.46

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 要旨:甲状腺癌の発生数は健康診断や集団検診などの頻度,病院での初診や手術例の頻度,剖検例での頻度によってばらつきがあるが,剖検例で10%前後,集団検診で0.4~0.88%である.組織型別の頻度では乳頭癌が92.5%,濾胞癌が4.8%,髄様癌が1.3%,未分化癌が1.4%である.2002年における頻度よりも濾胞癌の頻度が2%減少し,乳頭癌がその分増加している.分化癌ではT2N0が多く,未分化癌ではT4N1が多かった.初発症状別頻度では頸部腫瘤などの症状が認められることは1/3程度である.年間の甲状腺癌罹患数は2004年に7,888人で,男女比は1:3.80と女性に多く,年間死亡数は1,431人であった.いずれも5年前の統計より罹患数で1,000人以上,死亡数でも100人以上増加している.家族性甲状腺癌はMEN IIに代表される甲状腺髄様癌がよく研究されている.家族性甲状腺髄様癌はほとんど全例に遺伝子変異を認め,散発性の甲状腺髄様癌では約1/5の症例に変異を認める.一般的には顕性癌となる前のラテント癌や微小癌の予後がよいのは当然であるが,進行癌でも未分化癌以外は担癌状態でもかなりの生存期間が見込まれる.

参考文献

1)武部晃司,伊達 学,山本洋介,他:甲状腺癌超音波検診で発見される微小癌の問題点(innocent carcinomaの提唱).内分泌外科 14:181-184,1997
2)浜田 昇:日本における甲状腺疾患の頻度と自然経過.Medical Practice 19:190-194,2002
3)入江順二:剖検例からみた甲状腺微小癌(ラテント癌).内分泌外科 14:185-189,1997
4)三村 孝,伊藤公一:甲状腺癌.日本臨牀 59:386-392,2001
5)岩崎博幸,天野富薫,松本昭彦,他:甲状腺微小癌の手術方針.乳腺甲状腺.外科インターメルク,1995,pp90-94
6)山下俊一:放射能による甲状腺癌.医学のあゆみ 197:225-227,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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