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特集 癌診療に役立つ最新データ2007-2008 Ⅵ.胃癌
胃癌の疫学に関する最新のデータ
著者: 谷川允彦1
所属機関: 1大阪医科大学一般・消化器外科
ページ範囲:P.171 - P.176
文献購入ページに移動 要旨:胃癌の罹患率は男性においては第1位であり,女性では第3位に位置している.2000年のわが国における胃癌の推計罹患患者数は男女合計102,785人であり,同年の全癌罹患数の19.1%を占めていた.一方,胃癌死亡数については同年(2000年)は50,650人,2003年では49,535人であり,これは全癌死亡の16%であった.世界各国の胃癌死亡率の年次推移をみると,わが国も諸外国と同様に低下傾向を示しているが,低下の開始時期は遅く,その影響もあって現在もなお諸外国に比べて高率である.この世界的な一様な低下傾向はおそらく食生活,特に食品の保存方法が塩蔵,燻製から冷蔵や冷凍保存に変わったことにより,塩辛い食品の摂取量が減少して,逆に果物や生野菜類の摂取量が増加したことが大きく関与していると考えられている.
参考文献
1)大阪府健康福祉部,大阪府医師会,大阪府立成人病センター:大阪府におけるがん登録第69報―2002年のがんの罹患と医療及び1998年罹患者の5年生存率.大阪府健康福祉部,2006,pp1-27
2)Marugame T, Kamo K, Katanoda K, et al:Cancer incidence and incidence rates in Japan in 2000;estimates based on data from 11 population-based cancer registries. Jpn J Clin Oncol 36:668-675, 2006
3)厚生労働省大臣官房統計情報部(編):平成15年人口動態統計,下巻.厚生統計協会,2003,pp284-290
4)黒石哲生,広瀬かおる,田島和雄,他:世界各国のがん死亡の動向―30カ国における部位別がんの年齢調整死亡率(1953-1997).大島 明,他(編):がん・統計白書―罹患/死亡/予後―2004.篠原出版,2004,p277, 294,251
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