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文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻12号

2007年11月発行

文献概要

特集 Up-to-Date外科医のための創傷治癒

創傷の管理

著者: 炭山嘉伸1 有馬陽一1

所属機関: 1東邦大学医学部外科学第三講座

ページ範囲:P.1507 - P.1514

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要旨:外科の歴史は感染との闘いの歴史である.人類は消毒・滅菌による無菌法や抗菌化学療法という強力な「武器」を手にしてきたが,近年誤った使用法による弊害が指摘されている.慣習的に行われてきた,術後の創に対する毎日の消毒・ガーゼ交換といった根拠のない無駄な処置や,創の内部を消毒薬で洗うなどの創傷治癒にとって有害無益な処置は見直しが必要である.術後48時間以上が経過すれば創被覆や消毒は不要で,抜糸が終わるまでシャワーや入浴を禁止する根拠はない.縫合せずに開放されたままの創や,術後の創感染で開放ドレナージされた創の内部には生理食塩水あるいは流水での洗浄と,ウェットドレッシングを原則とする.「本来,キズは放っておいても自然に治るものだ」と認識し,正常な治癒過程を円滑に進ませるべく患者を治療・ケアするように心がけなければならない.

参考文献

1)炭山嘉伸,有馬陽一:術後創傷ケアの基礎知識.消外ナース 9:474-481,2004
2)倉本 秋,他(編):ドレッシング―新しい創傷管理.へるす出版,2005
3)日本褥瘡学会(編):科学的根拠に基づく褥瘡局所治療ガイドライン.照林社,2005
4)夏井 睦:これからの創傷治療.医学書院,2003
5)NPO法人創傷治癒センター.http://www.woundhealing-center.jp/index.html
6)http://www.wound-treatment.jp/
7)永井 勲:日本の滅菌法―その歴史と現在.感染と消毒 7:2-12,2000
8)柴 忠明:創傷.小柳 仁,他(編):標準外科学.医学書院,2004,pp141-148
9)炭山嘉伸:周術期における抗菌薬.日外感染症誌 1:7-15,2004
10)斉田芳久,炭山嘉伸,片桐美和,他:術後一次縫合創管理法に関するprospective randomized trialによる検討.日臨外会誌 63:1341-1345,2002
11)福田直人,和田浄史,高橋茂雄,他:大腸癌開腹手術創に対する無消毒閉鎖療法の検討.日臨外会誌 66:1817-1820,2005
12)包帯法―創の処置.林 四郎(編):新臨床外科全書 第1巻.金原出版,1977,pp311-314
13)山本康弘,森口隆彦:皮膚欠損創の管理.日外会誌 107:288-290,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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