文献詳細
特集 膵臓外科の新たな展開
文献概要
要旨:急性膵炎の治療の原則は保存的治療であり,軽症膵炎(浮腫性膵炎)ではほとんどが軽快する.重症膵炎(壊死性膵炎)では臓器不全や重症感染症を伴いやすく,死亡率が高い.従来行われていた壊死性膵炎(非感染性)に対する早期手術は治療成績が不良であり,保存的集中治療が適応となる.後期にみられる感染性膵壊死はnecrosectomyの適応であり,壊死巣摘除後にドレナージ(閉鎖式持続洗浄またはopen drainage)を行う.感染性膵壊死の診断には経皮的穿刺吸引による細菌培養が有用である.膵膿瘍や症状・合併症を有する膵仮性囊胞はドレナージの適応であり,経皮的あるいは内視鏡的ドレナージが困難または無効な場合は手術的ドレナージを行う.胆石性膵炎例の胆囊結石に対しては膵炎消退後の同一入院期間中に胆囊摘出術を行う.
参考文献
1)急性膵炎の診療ガイドライン作成委員会(編):エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン,第1版.金原出版,2003
2)急性膵炎の診療ガイドライン第2版作成出版委員会(編):エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン,第2版.金原出版,2007
3)小川道雄,広田昌彦,跡見 裕,他:急性膵炎の実態調査.厚生労働省特定疾患対策研究事業.重症急性膵炎の救命率を改善するための研究班―平成12年度研究報告書.2001,pp17-33
4)Fagniez PL,Rotman N, Kracht M:Direct retroperitoneal approach to necrosis in severe acute pancreatitis. Br J Surg 76:264-267, 1989
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