文献詳細
文献概要
外科の常識・非常識―人に聞けない素朴な疑問・38
半抜糸(間抜糸)は必要か
著者: 鎌倉達郎1 松下博明1
所属機関: 1聖心美容外科
ページ範囲:P.229 - P.231
文献購入ページに移動 皮膚縫合は外科手術に必要不可欠な手技であり,外傷や手術などによって離開した創縁をきちんと接着させることを目的としている.皮膚表面が非吸収性の糸で縫合されれば抜糸が必要になるが,この抜糸という手技に関しては,その時期や抜く本数において各施設,医師の信念(?)などによって若干の違いがあると思われる.時期に関しては「抜糸はなぜ7日目か」で報告したが1),抜く本数については全抜糸,半抜糸(間抜糸)がある.そのなかでも,半抜糸が本当に必要かを外科に携わっている医師ならば一度は考えたことがあるかもしれない.本稿では,あらためて半抜糸の意義について考えてみたので,何かの参考にしていただければ幸いである.
筆者自身の記憶では,外科の研修医時代に手術後の患者は2日に分けて半分ずつ抜糸していた.そのころは「半抜糸しておいて」という先輩医師の言葉に従い,何も考えずに半抜糸をしていた.その後,一般外科における手術において形成外科的な縫合法を取り入れるようになったため,半抜糸することは少なくなったが,半抜糸がなくなったわけではなかった.糖尿病に併発した足壊疽の下腿切断や皮弁,筋皮弁などを起こしてその皮膚が血行不良(阻血,鬱血)になった場合など早めに半抜糸を行うこともあった.美容外科領域での診療を主とするようになってからは患者の質が変化したため,半抜糸することはなくなり,ほとんどは全抜糸をしてテープ固定を行っている.
筆者自身の記憶では,外科の研修医時代に手術後の患者は2日に分けて半分ずつ抜糸していた.そのころは「半抜糸しておいて」という先輩医師の言葉に従い,何も考えずに半抜糸をしていた.その後,一般外科における手術において形成外科的な縫合法を取り入れるようになったため,半抜糸することは少なくなったが,半抜糸がなくなったわけではなかった.糖尿病に併発した足壊疽の下腿切断や皮弁,筋皮弁などを起こしてその皮膚が血行不良(阻血,鬱血)になった場合など早めに半抜糸を行うこともあった.美容外科領域での診療を主とするようになってからは患者の質が変化したため,半抜糸することはなくなり,ほとんどは全抜糸をしてテープ固定を行っている.
参考文献
1)鎌倉達郎,満行みどり:抜糸はなぜ7日目か.臨外 59:1450-1452,2004
2)呉 秀三:華岡青州先生及其外科―伝記・華岡青州.思文閣,1971,pp234-235
3)小柳 仁:基本的外科手術手技.小柳 仁,他(編);標準外科学.第9版.医学書院,2001,pp55-56
4)和田達雄(編):新外科学大系.第8巻「損傷・創傷治癒」.中山書店,1990,pp46
5)丹下一郎,三宅伊豫子:私どもの行なっている縫合法(1).形成外科 35:1211-1214,1992
6)渡邊克益:縫合の基本術技 形成外科からみた顔面の創縫合.外科治療 88:442-447(増刊号),2003
7)鬼塚卓彌:形成外科手術書.改訂第3版.南江堂,1996,pp34
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