文献詳細
連載企画「外科学温故知新」によせて・10
文献概要
本誌の第61巻6号(2006年6月号,808~809頁)でゼンメルワイスの事績について書いた際(本コラム「手術管理・感染対策―産褥熱の制圧に挑んだSemmelweisの悲劇」1)),文末に「ブダペストを訪れる機会があれば,是非ともゼンメルワイス医学史博物館に足を伸ばしてほしい」という一節を入れたが,ひょんなことから筆者自身が中欧(チェコ,オーストリア,ハンガリー)に旅行することになった.
さて,「日本において最も有名なハンガリー人外科医は誰か?」といえば,ペッツ胃腸吻合器にその名を残すペッツ(Aladár von Petz)であろう.また,以前に外国のある外科学雑誌で,ブダペストの王宮の近くにあるゼンメルワイス医学史博物館(Semmelweis Orvostörténeti Múzeum)にペッツを中心にした器械吻合の変遷がわかる展示があることを見かけたことがあったので,ブダペストを訪れることがあれば是非とも見学しようと考えていたところであった.そして,本年の9月にこの博物館を訪れた際に運よくこの展示コーナーを撮影することができたので,今回はHültlとPetzの顕彰コーナーの紹介を含めて,器械吻合の発展過程を述べる.
さて,「日本において最も有名なハンガリー人外科医は誰か?」といえば,ペッツ胃腸吻合器にその名を残すペッツ(Aladár von Petz)であろう.また,以前に外国のある外科学雑誌で,ブダペストの王宮の近くにあるゼンメルワイス医学史博物館(Semmelweis Orvostörténeti Múzeum)にペッツを中心にした器械吻合の変遷がわかる展示があることを見かけたことがあったので,ブダペストを訪れることがあれば是非とも見学しようと考えていたところであった.そして,本年の9月にこの博物館を訪れた際に運よくこの展示コーナーを撮影することができたので,今回はHültlとPetzの顕彰コーナーの紹介を含めて,器械吻合の発展過程を述べる.
参考文献
1)佐藤 裕:外科学温故知新によせて [2]産褥熱の征圧に挑んだSemmelweisの悲劇.臨外 61:808-809,2006
2)佐藤 裕:外科学温故知新によせて [8]腸管吻合法の歴史的変遷.臨外 61:1651-1656,2006
3)Aladár von Petz:Zur Technik der Magenresection. Ein neuer Magen-Darmnähapparat. Zentralblatt für Chirurgie 51(Nr. 5):179-188, 1924
4)峯 勝,他:我々の胃全摘及び噴門癌の手術術式について.日外会誌 66:1070-1072,1965
5)Androsov PI:Experience in the application of the instrumental mechanical suture in surgery of the stomach and rectum. Acta Chir Scand 136:57-63, 1970
掲載誌情報