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文献概要
胃癌外科におけるリンパ節郭清の始まりとその展開・13
1910年前後から1930年代まで(2)―わが国での展開
著者: 高橋孝1
所属機関: 1たむら記念病院外科
ページ範囲:P.387 - P.398
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いよいよMikuliczの郭清体系のわが国での展開の話へと進みます.欧米でのMikulicz体系の展開が1903年のMikuliczの訪米を契機としたことは前回述べたとおりであります.これに対比すると,日本でのMikulicz体系の展開の萌芽となったものが三宅速のドイツ留学であったことは,すでに本連載第1回概説で述べたところです.
三宅速のBreslauのMikuliczのもとへの留学は1898年8月から1900年4月までの1年8か月,1903年7月から1904年7月までの1年間の2回です.この間のMikulicz側の出来事としては,本連載ではすでにお伝えした1898年4月の第27回ドイツ外科学会における胃癌外科の特別講演であり,1903年3月の米国訪問であります.前者はMikuliczの郭清体系の確立が公にされた記念碑的演説であり,後者はそれが米英に伝播される契機となった訪問です.
いよいよMikuliczの郭清体系のわが国での展開の話へと進みます.欧米でのMikulicz体系の展開が1903年のMikuliczの訪米を契機としたことは前回述べたとおりであります.これに対比すると,日本でのMikulicz体系の展開の萌芽となったものが三宅速のドイツ留学であったことは,すでに本連載第1回概説で述べたところです.
三宅速のBreslauのMikuliczのもとへの留学は1898年8月から1900年4月までの1年8か月,1903年7月から1904年7月までの1年間の2回です.この間のMikulicz側の出来事としては,本連載ではすでにお伝えした1898年4月の第27回ドイツ外科学会における胃癌外科の特別講演であり,1903年3月の米国訪問であります.前者はMikuliczの郭清体系の確立が公にされた記念碑的演説であり,後者はそれが米英に伝播される契機となった訪問です.
参考文献
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