臨床外科62巻3号

2007年03月発行

臨床報告・1

卵巣成熟囊胞性奇形腫に伴う多量の腹水で発症した成人臍ヘルニア嵌頓の1例

著者： 長尾知哉¹ 日比優一¹ 大久保浩毅¹ 結城敬¹ 清水義雄¹ 大井悦弥¹

所属機関： ¹佐久総合病院外科

ページ範囲：P.431 - P.433

文献概要

はじめに

　成人臍ヘルニアは比較的稀な疾患とされている．腹部瘢痕組織が伸展され脆弱化したところに，妊娠，肥満，腹水などの腹腔内圧上昇が加わって発症するとされている^1）．そのほとんどは肝硬変，多産，高度肥満などの基礎疾患に合併しているが^2），婦人科疾患を基礎とするものはほとんどない．

　今回，卵巣成熟囊胞性奇形腫とそれに伴う多量の腹水によって発症した臍ヘルニア嵌頓の1例を経験したので報告する．

参考文献

1）柵瀨信太郎，牧野永城：臍ヘルニア．和田達雄（監修）；新外科学体系，25B巻．中山書店，1990，pp156-161

2）和田信昭：臍ヘルニア．消外 19：1110-1111，1996

3）福岡秀敏，伊藤重彦，小林誠博，他：巨大子宮筋腫に基因した成人臍ヘルニア嵌頓の1例．日腹部救急医会誌 30：715-718，2000

4）小石健二，楠原清史，柳生隆一郎，他：腸管の腹壁外脱出をみた成人臍ヘルニア囊破裂の1例．日外科系連会誌 28：903-906，2003

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