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特集 癌診療ガイドラインの功罪
乳癌診療ガイドラインに対する専門医の評価
著者: 安達洋祐1
所属機関: 1岐阜大学医学部腫瘍外科
ページ範囲:P.457 - P.463
文献購入ページに移動要旨:日本乳癌学会の専門医にアンケートを行い,乳癌診療ガイドラインの功罪を調査したところ,「功」のほうが「罪」よりも大きいと高く評価され,標準的な診療指針が示されて患者さんへの病状説明や治療方針の決定がスムースになったというメリットがあるが,ガイドラインが絶対的であると捉える世間の風潮が弊害として指摘された.医療水準が変化する乳房温存療法の判例では,学会のガイドラインや統計が基礎的な判断資料として採用されており,ガイドラインは医師に不可欠の知識である.診療には医師と患者の対話(情報や意見の交換)が大切であり,ガイドラインは「医師と患者の傍らにある意思決定の素材」として上手に活用したい.
参考文献
1)安達洋祐,川口順敬,細野芳樹,他:使用する立場からみた「癌診療ガイドライン」のポイント―乳癌診療ガイドライン.外科治療 94:157-163,2006
2)中山健夫:EBMを用いた診療ガイドライン作成・活用ガイド.金原出版,2004,pp71-97
3)古川俊治:メディカルクオリティ・アシュアランス―判例にみる医療水準 第2版.医学書院,2005,p310
4)安達洋祐:外科研修の常識チェック 改訂第2版.金原出版,2005,p57,81
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