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文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 癌診療ガイドラインの功罪

胃癌治療ガイドラインの制定・評価とその功罪

著者: 吉野肇一1

所属機関: 1国際医療福祉大学臨床医学研究センター

ページ範囲:P.477 - P.483

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要旨:総論的に診療ガイドライン(以下,GL)の必要性,マイナス面を述べたのちに,本格的な癌治療GLとしてはわが国初の『胃癌治療GL』について,その成立経緯,エッセンスの紹介,特徴・短所,評価,今後の問題点などについて記載した.『胃癌治療GL』はスタート時点で欧米の診療GLの標準的なレベルにはあり,その普及度に関してはほぼ満足できるものであったが,外部評価機構,改訂時期,公表方法の明示,患者側の考え方,自己評価の記載といった点については改良すべきと思われた.また,欧米とは異なる民族性をもつわが国では独自の診療GL作成の手引き・支援体制づくりが,より国を挙げて行われるべきである.診療GLの公示は,公的機関・学会によるインターネットでのものが望ましい.

参考文献

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19)http://www.ebm.jcqhc.or.jp/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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