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文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻5号

2007年05月発行

特集 外来がん化学療法と外科

外来化学療法の今後

著者: 坂本純一1 森田智視1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科社会生命科学講座

ページ範囲:P.677 - P.686

文献概要

要旨:癌に対する化学療法による治療は長期間遂行する必要があるが,医療費の負担が大きいため入院加療期間をできるだけ短くし,外来における治療を中心にシフトさせる必要が出てきた.外来化学療法加算など経営的に収益性を担保する施策も実施されたことから,癌に対する外来化学療法は今後,多くの医療機関で広く行われるようになるものと思われる.外来化学療法を行っていくうえでは,きっちりとしたクリニカルパスを策定し,外来治療時また帰宅後の在宅時の副作用に対する対策を万全にするために専門家を育成し,医師,外来看護師,専門薬剤師などによるチーム医療を充実させ,入院治療と同等の安全性だけでなく,より優れたQOLの達成を目的としなければならない.また,病診連携を密接にし,診療所における治療やフォローアップも充実させる必要があり,今後こういった問題を解決するためのセンター施設と関連診療所の間における情報交換や,合同診療会議による意見のすりあわせなどがより頻回に行われるべきであろう.今後,注意しなければならないことは,外来化学療法が広く行われるようになったあとで政策が変換され,DPCだけでなく入院・外来を併せた包括医療制度が実施されるリスクが残っていることであり,この観点からみると,病院経営を安定させ,患者の利益を守っていくために,医療行政の動向に注意しながら外来化学療法を注意深く充実させていくことが必要になってくるものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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