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文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻7号

2007年07月発行

文献概要

臨床報告・1

鈍的腹部外傷による遅発性小腸狭窄を生じ穿孔性腹膜炎を呈した1例

著者: 丸山晴司1 森恵美子1 前田貴司1 松隈哲人1 松田裕之1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター外科

ページ範囲:P.969 - P.974

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はじめに

 腹部外傷による小腸損傷を呈した場合,小腸の破裂や断裂を伴う腹膜炎として一般的に受傷後早期に症状が出現する1~3).ごく稀に受傷後数日から数年を経過して小腸狭窄を発症する場合もあるが1~5),わが国ではこのような外傷性の遅発性小腸狭窄の報告例は少ない.

 今回,われわれは鈍的腹部外傷から6か月が経過したのちに穿孔性腹膜炎を伴って発症した遅発性小腸狭窄に対し手術を施行した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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