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文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻8号

2007年08月発行

文献概要

特集 Surgical Site Infection(SSI)対策

医療経済・医療安全からみたSSI

著者: 吉田順一12 小柳信洋1

所属機関: 1下関市立中央病院感染管理委員会 2下関市立中央病院呼吸器外科

ページ範囲:P.1067 - P.1072

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要旨:医療安全は医療経済を優先すれば損なわれる一方,潤沢に投資しても成果に限界がある.両者を同時に追求するために,手術部位感染(surgical site infection:SSI)のリスク強度+リスク頻度により,1:高+高(例,耐性菌で患者死亡),2:高+低(例,縫合不全で重篤化),3:低+高(例,汚染手術),および4:低+低(例,滅菌不具合)に分け,レベル1~4の順に対策と費用をあてることを提唱する.その他,過去の教訓例の収集・活用,新法令に基づく感染制御,予防的抗菌薬の使用や,特にリスクコミュニケーションが重要であろう.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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