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文献詳細

雑誌文献

臨床外科62巻9号

2007年09月発行

文献概要

手術手技

フック型超音波凝固切開装置を用いた腹腔鏡下肝切除術

著者: 今西築1 植野望1 佐野勝洋1 一井重利1 黒田浩光1

所属機関: 1六甲アイランド病院外科

ページ範囲:P.1295 - P.1299

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はじめに

 内視鏡下手術では出血をさせないように操作を進める必要があり,術中に多量出血が生じた場合には視野が極端に悪くなって,手術が停滞する.また,気腹下の手術ではCO2塞栓が危惧されることもあって腹腔鏡下での肝切除術は普遍的な手技とは言いがたく,「内視鏡外科手術に関する第8回アンケート調査」1)からも肝切除術は全施設の合計で年間100例前後と胃や大腸などのほかの消化器疾患と比べて手術症例は少なく,広くは普及していないのが現状である.

 今回,われわれは超音波凝固切開装置(ultrasonically activated device:以下,USAD)を用いて通常の気腹下で腹腔鏡下肝部分切除術を行い,良好に経過した2例を経験した.特殊な装置を必要としないため,多くの施設で対応が可能と思われたので,肝切離の手技などについて報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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