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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻1号

2008年01月発行

文献概要

特集 機能温存手術のメリット・デメリット

下部直腸癌に対する肛門機能温存手術のメリット・デメリット

著者: 奥田準二1 田中慶太朗1 近藤圭策1 加藤哲也1 茅野新1 田代圭太郎1 谷川允彦1

所属機関: 1大阪医科大学一般・消化器外科

ページ範囲:P.35 - P.43

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要旨:下部直腸癌に対しては,癌手術としての根治性を落とさずに肛門機能を温存する肛門機能温存手術が広く求められている.近年,従来の低位前方切除術に加えて経肛門的操作を併用した超低位直腸切除術による肛門機能温存の有用性が報告されるようになってきた.特に,経肛門的括約筋部分切除を併用した超低位直腸切除術は最先端の肛門機能温存手術として期待されている.この術式においても不用意な合併症(特に縫合不全)や予期せぬ再発(特に局所)を回避して良好な肛門機能を温存することが最も重要である.そのためには,適応選択と術中判断を適切に行って的確な切除と安全な吻合を完了することが要求される.一方で,肛門機能温存が十分でない場合などには,直腸切断術よりQOLが悪くなることなども含めて術前に十分なインフォームド・コンセントを得ておくことも必要不可欠と考えられる.

参考文献

1)大腸癌研究会(編):大腸癌取扱い規約.第7版.金原出版,2006
2)橋口陽二郎,上野秀樹,梶原由規,他:切除範囲(distal marginとcircumferential margin)の決定と根拠.消外 30:1319-1325,2007
3)川上雅代,山口達郎:肛門温存手術.森 武生(編);機能温存のための大腸外科治療.中山書店,2007,pp62-69
4)奥田準二,谷川允彦:直腸Ra/Rb癌に対する腹腔鏡下手術.奥田準二(編);腹腔鏡下大腸手術の最前線Ⅱ.永井書店,2006,pp252-287
5)志田 大,渡邉聡明,名川弘一:縫合不全(直腸).手術 59:1465-1470,2005
6)榎本雅之,小野千尋,星野直明,他:直腸癌に対する超低位前方切除術.消外 24:1195-1201,2001
7)寺本龍生,塩川洋之,船橋公彦,他:超低位直腸切除,経肛門吻合術の手技と適応.外科治療 89:413-417,2003
8)齋藤典男,杉藤正典,伊藤政昭,他:超低位直腸癌における肛門括約筋部分温存手術の適応と方法.消外 30:1335-1343,2007
9)赤木由人,白水和雄,緒方 裕:下部直腸・肛門管癌に対する肛門機能温存手術.Annual Review消化器2007.242-246,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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