icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻1号

2008年01月発行

文献概要

外科学温故知新・30

血管外科―腹部大動脈瘤治療の歴史

著者: 笹栗志朗1 西森秀明1 福冨敬1 割石精一郎1 山本正樹1

所属機関: 1高知大学医学部外科2

ページ範囲:P.75 - P.80

文献購入ページに移動
1 はじめに

 腹部大動脈瘤は加齢や動脈硬化を原因とした大動脈の変性疾患である.大動脈壁には動脈圧に対抗するためにエラスティンやコラーゲン,平滑筋細胞などが含まれているが,これらが加齢とともに減少・変性することが大動脈の拡張に関連していると考えられている.その自然予後は不良で,動脈瘤は進行性に拡大し,ついには破裂に至る.わが国では司馬遼太郎らが,海外ではAlbert EinsteinやJoseph Pulitzerらが腹部大動脈瘤破裂のために亡くなっている.日本血管外科学会による血管外科手術例数調査によると,2005年には6,099例の腹部大動脈瘤手術(うち774例は破裂例)が行われている.現在,腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術は標準術式として確立されているが,ほかの疾患の治療法と同じく,偉大なる先達の挑戦と努力の下に改良を重ね,成熟してきたものである.

 本稿では,腹部大動脈瘤治療法の今日までの発展の経過を述べる.

参考文献

1)安田慶秀(監修):標準血管外科―日本血管外科学会教育セミナーテキスト(1).日本血管外科学会,2006
2)日本血管外科学会:日本における血管外科手術例数調査2005年.
3)Friedman SG:A History of Vascular Surgery. 2nd ed. Blackwell, 2005
4)Cooley DA:Aortic aneurysm operations:past, present, and future. Ann Thorac Surg 67:1959-1962, 1999
5)Thompson JE:Early history of aortic surgery. J Vasc Surg 28:746-752, 1998
6)Shumacker HB Jr:A history of modern treatment of aortic aneurysms. World J Surg 4:503-509, 1980
7)Matas R:Aneurysm of the abdominal aorta at its bifurcation into the common iliac arteries. Ann of Surg 112:909-922, 1940
8)重松 宏(監修):AAAステントグラフト.日本血管外科学会雑誌 16(別冊付録):1-29,2007
9)EVAR trial participants:Endovascular aneurysm repair versus open repair in patients with abdominal aortic aneurysm(EVAR trial 1):randomized controlled trial. Lancet 365:2179-2186, 2005
10)Prinssen M, Verhoeven EL, Buth J, et al:A randomized trial comparing conventional and endovascular repair of abdominal aortic aneurysms. N Engl J Med 351:1607-1618, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?