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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻10号

2008年10月発行

文献概要

特集 鼠径ヘルニアの治療NOW―乳幼児から成人まで 〔成人鼠径ヘルニアの診療〕

術後合併症とその予防法

著者: 佐藤康1 中嶋昭1 川村徹1 松永浩子1 大石陽子1

所属機関: 1日産厚生会玉川病院外科

ページ範囲:P.1373 - P.1377

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要旨:成人鼠径ヘルニアの治療はメッシュを用いたテンションフリー法が標準となっている.従来法と比較して再発率の低さ,術後愁訴の少なさなど優位な点が多い.しかし,従来法にはない合併症や術後愁訴があることも分かってきた.術後神経痛については鼠径部の解剖に精通し,3本の神経(腸骨下腹神経,腸骨鼠径神経,陰部大腿神経陰部枝)を認識し,メッシュ固定時に神経の巻き込みに気をつけることやメッシュのめくれを起こさないようにすることが重要である.漿液腫は自然消退するので経過観察でよい.感染予防には十分に注意を払う.遅発性感染は難治性であることが多く,メッシュの除去,従来法での修復を行う.デバイスの特性を知り,手術を行うことが重要である.

参考文献

Nyhus LM, Condon RE(eds);Hernia. 4th ed. Philadelphia, JB Lippincott, 1995, pp269-282
2)Stephenson BM:Complications of open groin hernia repairs. Surg Clin North Am 83:1255-1278, 2003
3)工藤道也,久保田充,志賀知之:メッシュプラグによるforeign body granulomaの1例.外科 67:719-721,2005
4)藤井正弘,小林陽一郎,宮田完志,他:鼠径ヘルニア根治術後のメッシュ感染の1例.手術 58:1933-1936,2004
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6)中川国利,村上泰介,遠藤公人,他:メッシュ摘出を要した鼠径ヘルニア術後遅発性感染の2例.日外科系連会誌 32:242-245,2007
7)成田匡大,山本俊二,岡本正吾,他:鼠径ヘルニア術後の神経因性疼痛に鎮痛補助薬が有効であると考えられた1例.臨外 63:427-429,2008
8)田中宏典,木下浩一,祝迫惠子,他:鼠径ヘルニア根治術(メッシュプラグ法)後に発症したアレルギー性肉芽腫性血管炎の1例.外科 65:112-114,2003
9)渡辺 誠,高村光一,後藤 学,他:Mesh plugに起因した癒着性腸閉塞の1例.日臨外会誌 66:402-405,2005
10)伊藤浩明,舟橋啓臣,酒向 猛,他:鼠径ヘルニア根治手術後,メッシュプラグによる大腸穿通をきたした1例.日臨外会誌 65:2963-2966,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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