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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻10号

2008年10月発行

文献概要

特集 鼠径ヘルニアの治療NOW―乳幼児から成人まで

鼠径ヘルニア嵌頓時の対処法

著者: 中川国利1 藪内伸一1 小林照忠1 遠藤公人1 鈴木幸正1 桃野哲1

所属機関: 1仙台赤十字病院外科

ページ範囲:P.1379 - P.1383

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要旨:鼠径ヘルニアで嵌頓が生じると,非嵌頓例と比較して術後に種々の合併症が生じやすく死亡率も高い.また手術時期,術前の徒手整復の可否,皮膚切開部位,メッシュ使用の可否など,未だ解決されていない問題点が多い.原則的には鼠径ヘルニア嵌頓例では,患者の生命に危険を及ぼす絞扼や壊死の治療が急務であり,ヘルニア修復は二の次である.したがって鼠径ヘルニア嵌頓と診断した例ではできるだけ早期に手術を施行し,絞扼や壊死の治療を行う.さらに感染状況や患者の状態に応じてヘルニア修復術を行う.高齢化社会を迎え種々の合併症を有する症例が増加しつつあり,個々の患者に応じた対処を行うことが外科医に求められている.

参考文献

1)安達洋祐:鼠径ヘルニアの手術は必要か.臨外 60:1144-1145,2005
2)Watkin D:Groin hernias in the adult presenting as emergency. Bendavid R, Abrahamson J, Arregui ME, et al(eds);Abdominal Wall Hernias, Principles and Management. New York, Springer, 2000, pp560-568
3)柵瀨信太郎:鼠径・大腿ヘルニア嵌頓・絞扼.手術 59:1637-1650,2005
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5)Koivusalo A, Pakarinen MP, Rintala RJ:Laparoscopic herniorrhaphy after manual reduction of incarcerated inguinal hernia. Surg Endosc 21:2147-2149, 2007
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7)中川国利,白相 悟,村上泰介,他:閉鎖孔ヘルニア嵌頓例に対する腹腔鏡下手術.手術 59:287-289,2005
8)Ohana G, Manevwitch I, Weil R, et al:Inguinal hernia:Challenging the traditional indication for surgery in asymptomatic patients. Hernia 8:117-120, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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