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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 肛門疾患診療のすべて 5.痔核 内痔核

嵌頓痔核の治療

著者: 松田好雄1 町田智幸1 大高京子1 荒井武和1 松田大助2

所属機関: 1荒川外科肛門科医院 2東京医科大学第3外科

ページ範囲:P.147 - P.155

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要旨 嵌頓痔核は,それまで徐々に進行していた痔核が何らかの誘因で肛門管外に脱出してその状態が持続し,肛門括約筋の痙攣によって絞扼されて循環障害をきたし整復が困難となったものである.患者の多くは肛門部の耐えがたい疼痛を伴った大きな腫脹を主訴に来院するが,普段は自覚症状のないものもあれば,ときにⅡ~Ⅲ度のレベルから発症するものもある.嵌頓痔核の治療法として保存的治療か手術治療のいずれを選択すべきか,また,手術治療であれば待機的手術か早期手術かに関しては議論のあるところである.嵌頓痔核が初回整復が可能で保存的治療に反応すれば,経過をみたうえで手術適応を考える.整復不能で手術を考慮した場合は,嵌頓前後の状態や患者の社会的背景を把握しインフォームド・コンセントを行って早期手術か待機的手術かの適応を臨機応変に決定する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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