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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 肛門疾患診療のすべて 8.痔瘻

複雑痔瘻(坐骨直腸窩痔瘻,骨盤直腸窩痔瘻)に対する治療

著者: 岡本欣也1 佐原力三郎1

所属機関: 1社会保険中央総合病院大腸肛門病センター

ページ範囲:P.219 - P.234

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要旨 複雑痔瘻(坐骨直腸窩痔瘻,骨盤直腸窩痔瘻)の診断は問診,視診,触診の順で行っていくが,最も重要なのは触診である.術式を考えるうえでは隅越分類のどの型に属するかを判断することにより方針を立てる.さらにMRIを追加することで瘻管走行や膿瘍の深さをより細かく把握しておく.複雑痔瘻の術式には根治性,機能温存,早期治癒を完全に満たすものはないため,重要視するポイントで術式を選択することとなる.

 現在当センターの主な術式は括約筋温存術式―外側アプローチ術,Hanley変法,seton法などである.なかでも括約筋温存術式―外側アプローチ術は括約筋へのダメージがほとんどなく当センターのスタンダード術式となっており,初発例のように原発口の比較的小さく周辺括約筋の軟らかい症例に対して積極的に行い,満足のいく結果を得ている.ただし筋肉組織が瘢痕化しているような再発例や巨大な原発口を有する症例では原発口の閉創が難しく適応でない.このような症例にはHanley変法あるいはseton法を選択している.

参考文献

1)隅越幸男,高野正博,岡田光生,他:痔瘻の分類.日本大腸肛門病会誌 25:177-184,1972
2)佐原力三郎,岩垂純一:痔瘻診療の実際.岩垂純一(編);肛門疾患診療プラクティス.第2版.永井書店,2007,pp95-124

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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