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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 肛門疾患診療のすべて 10.術後後遺症

Whitehead anusの診断と治療

著者: 國本正雄1 安部達也1 鉢呂芳一1

所属機関: 1くにもと病院肛門科

ページ範囲:P.259 - P.264

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要旨 ホワイトヘッド手術は,連合縦走筋や肛門粘膜の支持組織を破壊してしまう侵襲の大きな術式であり,肛門狭窄・粘膜脱・肛門機能不全などの重篤な後遺症を引き起こしやすい.特に,粘膜脱・出血・便失禁・肛門掻痒などの症状を伴うWhitehead anusは,後遺症のなかでも最も重篤かつ治療に難渋するものである.Whitehead anusの治療法については,その程度に応じて保存療法もしくは手術療法を選択する.手術療法については,結紮切除術・皮膚弁移動術などが一般的であるが,Whitehead anusの成因機序を考慮すると,ALTA注射療法も低侵襲な治療法として有効であると考えている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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