臨床外科63巻12号

2008年11月発行

臨床報告

術前診断に難渋した内膀胱上窩ヘルニアの1例

著者： 名嘉山一郎¹ 吉田和彦²

所属機関： ¹京都民医連中央病院外科 ²京都民医連第二中央病院外科

ページ範囲：P.1633 - P.1637

はじめに

　内膀胱上窩ヘルニアはきわめて稀な疾患で^1,2），術前診断が困難なことが多い^2～6）．今回，鼠径ヘルニア嵌頓の疑いで緊急手術となったのち，再手術を施行して内膀胱上窩ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断された症例を経験した．腹部所見の経過および腹部CT所見が特徴的であり，今後にも有用な知見と考えられたので，若干の文献的考察を加えて報告する．

参考文献

1）Skandalakis JE, Gray SW, Burns WB, et al：Internal and external supravesical hernia. Am Surg 42：142-146, 1976

2）渡邊利広，神賀正博，平井一郎，他：内膀胱上窩ヘルニアの1例．日臨外会誌 65：801-805，2004

3）浅井秀司，原　春久，浅野道雄，他：大腸ファイバーによる逆行性小腸造影とCTにて診断しえた内膀胱上ヘルニアの一例．日消外会誌 25：747，1992

4）Sasaya T, Yamaguchi A, Isogai M, et al：Supravesical hernia：CT diagnosis. Abdom Imaging 26：89-91, 2001

5）Sozen I, Nobel J：Inguinal mass due to an external supravesical hernia and acute abdomen due to an internal supravesical hernia：a case report and review of the literature. Hernia 8：389-392, 2004

6）田畑智丈，長谷川洋，坂本英至，他：腹腔鏡下に治療しえた内膀胱上窩ヘルニアの一例．日腹部救急会誌 25：376，2005

Nyhus LM, Harkins HN（eds）；Hernia, Philadelphia, Lippincott, 1964, pp625-636

8）十倉正朗，小林　巌，上坂邦夫，他：プラグに“ヘルニア囊”を使用した局所麻酔下大腿ヘルニア根治術．手術 61：1841-1845，2007