文献詳細
カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・10
文献概要
はじめに
腹腔鏡下直腸前方切除を安全に施行するためには,限られた骨盤腔内で良好な視野展開のもとに手術操作を進めなければならない.癌部に対しては愛護的に操作しつつ神経を温存して直腸の剝離や切離を行わなくてはならない.特に腸管切離部が低位になればなるほど,骨盤内の外科解剖を熟知している術者でも低位前方切除は難しくなる1~3).一方,腹腔鏡の拡大視効果は骨盤内操作においてきわめて有効である.すなわち腹腔鏡は骨盤内解剖の把握に有用で,視野展開に慣れれば出血なく安全に剝離・授動することができる.
本稿では,直腸癌の腹腔鏡下低位前方切除術の視野展開から,困難とされる腸管の切離・吻合に至るまでの工夫を紹介する.
腹腔鏡下直腸前方切除を安全に施行するためには,限られた骨盤腔内で良好な視野展開のもとに手術操作を進めなければならない.癌部に対しては愛護的に操作しつつ神経を温存して直腸の剝離や切離を行わなくてはならない.特に腸管切離部が低位になればなるほど,骨盤内の外科解剖を熟知している術者でも低位前方切除は難しくなる1~3).一方,腹腔鏡の拡大視効果は骨盤内操作においてきわめて有効である.すなわち腹腔鏡は骨盤内解剖の把握に有用で,視野展開に慣れれば出血なく安全に剝離・授動することができる.
本稿では,直腸癌の腹腔鏡下低位前方切除術の視野展開から,困難とされる腸管の切離・吻合に至るまでの工夫を紹介する.
参考文献
1)國場幸均,佐藤武郎,小澤平太,他:腹腔鏡を用いた腸手術の諸工夫―腹腔鏡下低位前方切除術.手術52:339-346,1998
2)國場幸均,大谷剛正,比企能樹:がん治療における体腔鏡手術の現状と展望―大腸癌.癌の臨43:1442-1449,1997
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5)絹笠祐介,齊藤修治,石井正之:直腸癌手術に必要な外科解剖の要点.消外30:1303-1310,2007
6)國場幸均,佐藤武郎,中村隆俊,他:大腸癌における腹腔鏡下手術の安全な郭清・授動の工夫.手術58:1883-1890,2004
7)國場幸均,佐藤武郎,小澤平太,他:腹腔鏡下大腸切除術における再建.消外27:1575-1582,2004
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