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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻3号

2008年03月発行

文献概要

カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・11

大伏在静脈を用いた肝動脈再建術

著者: 錦見尚道1 伊神剛2 梛野正人2 二村雄次3

所属機関: 1名古屋第一赤十字病院血管外科 2名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科 3愛知県がんセンター

ページ範囲:P.305 - P.310

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グラフトの選択

 肝動脈合併切除を行う際,肝動脈の直接吻合を行える場合はよいが,代用血管の間置が必要になる場合がある.代用血管として人工血管,自家動脈,自家静脈の選択肢があるが,肝動脈再建を必要とする手術では準無菌術野である場合が多いため,感染源となり得る人工血管の使用を避けたい.また,市販されている細口径人工血管で肝動脈再建に適当なサイズのものがないことから,自家動脈か自家静脈が選択される.

 冠動脈血行再建術では自家動脈は自家静脈と比較して長期開存率が良好であることが知られ,内胸動脈,胃大網動脈をin situで,また橈骨動脈がフリーグラフトとして広く使用されている.しかし,冠動脈血行は血管床への還流が拡張期に生じる血管抵抗がある心筋組織へのバイパスであり,肝動脈血行は収縮期に還流する生理的に血管抵抗が低い肝臓へのバイパスで,両者の開存成績を同等に論じることは不適切と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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