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書評
松村真司,箕輪良行(編)「コミュニケーションスキル・トレーニング―患者満足度の向上と効果的な診療のために」
著者: 高久史麿1
所属機関: 1自治医科大学
ページ範囲:P.422 - P.422
文献購入ページに移動 今回,医学書院から『コミュニケーションスキル・トレーニング―患者満足度と効果的な診療のために』が発刊されることとなった.編集者の松村真司,箕輪良行の両氏をはじめ,本書の執筆に当たられた方々は,従来からコミュニケーションスキル・患者満足度訓練(CST)コースを開発し,かつ具体的に実施されてこられた方々であり,現在CSTコースを定期的に開催しておられる.本書はこれらの人たちによってCSTコースのテキストとして利用することを想定して編集されたものであり,その内容は「コミュニケーションスキルと患者満足度」,「患者に選ばれるために必要なコミュニケーションスキルとは」,「コミュニケーションスキルの実際」,「コミュニケーションスキル・トレーニングの実際」,の4章から成り立っており,医師が患者と良好なコミュニケーションを持つのに必要なさまざまな調査のデータ,具体的な表現法,ノウハウ等が詳細に示されている.また,模擬患者のシナリオ,CSTの実際について例示されているのも本書の特徴の1つである.
私が現在勤務している自治医科大学にはUCLAで長年教鞭をとられ,2007年4月から常勤の教授として学生の教育に当たっておられるアメリカ人の方,米国の病院で8年以上働いたのち,本学に来られた准教授の方などがおられるが,これらの教員が異口同音に言われることは,日本の医学教育のなかで最も欠けているのはコミュニケーションの技術と理学的所見を正確にとる技術の2つであるということである.特に前者のコミュニケーション技術に関しては,欧米では小学生の時代から訓練を受けているとのことであり,コミュニケーションに関する教育を大学入学前に受けたことがないわが国の医学生や臨床研修医が,目前の患者とのコミュニケーションを保つのに苦労するのは当然の結果とも言えるであろう.しかしコミュニケーションの能力が医師にとって最も重要な能力の1つであることは疑いの余地がない.患者からの不満の中でいちばん多いのは,医師が十分に言うことをよく聞いてくれないということである.この様な不満が出るのは医師が忙し過ぎるだけでなく,本来持っているべき患者とのコミュニケーションの技術を医師が身に付けていないことも関係していると考えられる.
私が現在勤務している自治医科大学にはUCLAで長年教鞭をとられ,2007年4月から常勤の教授として学生の教育に当たっておられるアメリカ人の方,米国の病院で8年以上働いたのち,本学に来られた准教授の方などがおられるが,これらの教員が異口同音に言われることは,日本の医学教育のなかで最も欠けているのはコミュニケーションの技術と理学的所見を正確にとる技術の2つであるということである.特に前者のコミュニケーション技術に関しては,欧米では小学生の時代から訓練を受けているとのことであり,コミュニケーションに関する教育を大学入学前に受けたことがないわが国の医学生や臨床研修医が,目前の患者とのコミュニケーションを保つのに苦労するのは当然の結果とも言えるであろう.しかしコミュニケーションの能力が医師にとって最も重要な能力の1つであることは疑いの余地がない.患者からの不満の中でいちばん多いのは,医師が十分に言うことをよく聞いてくれないということである.この様な不満が出るのは医師が忙し過ぎるだけでなく,本来持っているべき患者とのコミュニケーションの技術を医師が身に付けていないことも関係していると考えられる.
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