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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻5号

2008年05月発行

文献概要

米国での移植外科の現場から・5

小腸移植および多臓器移植の実際

著者: 十川博1

所属機関: 1マンハッタン マウントサイナイ医科大学・移植外科フェロー

ページ範囲:P.655 - P.657

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1 はじめに

 前回までは主に肝移植についての米国の現状をレポートしてきた.今回は,米国でも限定した施設でしか行われていない小腸移植および多臓器移植についての現状を報告する.

 小腸移植はmedicare(メディケア:米国での高齢者に対する公的保険)でも認められている医療である.しかしながら,これが確立された移植であるというにはいささか違和感が感じられる.それは,移植臓器の生着率をほかの臓器と比較すればわかりやすい.肝移植では,移植患者の5年生存率は約75%である.臓器の生着率もそれに近いものがあろう.しかしながら,小腸移植の3年生存率(5年ではない)は約50%である.さらに,このような患者がどのようなクオリティの生活を行っているのかは表に出てこない.拒絶反応で治療中であるとか,PTLD(post-transplant lymphoproliferative disease)で治療中であることなどは数字の上には出てこない.

 さて,小腸移植は確立された移植なのだろうか.これらに対する答えは,数字上はThe Intestinal Transplant Registryに詳しい1).このレジストリは1994年の国際小腸移植シンポジウムからスタートしていて,全世界での小腸移植のデータが蓄積されている.今回は,小腸移植を実際に行ううえでの実感というものをこれに加えてレポートしていく.

参考文献

1)The Intestinal Transplant Registry(http://www.intestinaltransplant.org)
2)OPTN/SRTR 2006 Annual Report(http://www.optn.org/AR2006/1008_in.pdf)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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